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東北大とアイシン、STT-MRAMをチップ内に載せた16nmのAIチップを開発 65.7ミリ秒で起動

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東北大とアイシン、STT-MRAMをチップ内に載せた16nmのAIチップを開発 65.7ミリ秒で起動

東北大学と自動車部品大手のアイシンは11月2日、電源を切ってもデータが消えない不揮発性メモリ「STT-MRAM」をチップ内に搭載したAIチップを開発したと発表した。MONOistが11月4日に報じた。両者によると、STT-MRAMを搭載した16nmのAIシステム・オン・チップ(SoC)は世界初だという。開発したのは、東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター(CIES)の遠藤哲郎教授のチームとアイシンのチームである。

チップはTSMCの16nm FinFETプロセスで製造され、容量32MBのSTT-MRAMに加えて、AIアクセラレータ、CPUとしてArmのCortex-A53を2コア、GPUとしてArmのMali-G31を集積している。設計は近メモリコンピューティング型で、OSの起動用データとAIモデルの重みをプロセッサの近くにあるMRAMに保持するため、外付けのDRAMやSSDを必要としない。従来方式では、電源投入後にDRAMを初期化し、ブートローダーやモデルのデータをSSDからDRAMへ転送してからでなければ処理が始まらない。新しい設計では、電源投入からOSカーネル起動までの時間が2535.3ミリ秒から65.7ミリ秒に短縮され、38.59倍の高速化となった。

限られたメモリ容量にモデルを収めるため、チームは8ビットと16ビットの演算を組み合わせるハイブリッド乗算器を開発した。画像認識モデルのTiny YOLOv3を動かしたところ、重みデータは17.7MBから9.36MBへと53%減り、物体検出精度を示すmAPは0.325から0.316への低下にとどまった。チップ単体のAI処理時間は594.6ミリ秒から58.5ミリ秒に縮み、システム全体では約25倍高速になった。推論エネルギーは1フレーム当たり50.7ミリジュールで、従来方式の約50分の1である。

実務への影響

東北大とアイシン、STT-MRAMをチップ内に載せた16nmのAIチップを開発 65.7ミリ秒で起動(イメージ写真)

起動の速さと低消費エネルギーが最も効くのは、車載システムのように電源のオン・オフが多いエッジ機器であり、アイシンのような部品メーカーが関心を持つのは当然といえる。今回の成果は、AIデータセンター向けの日立のGPU冷却用コールドプレートからMN-Coreチップの量産を目指すPreferred Networksの計画まで、AIの効率化を狙う国内のハードウエア開発の流れに連なる。ただし、このチップが狙うのはサーバーではなく小型機器である。

成果は、11月1日から4日まで台湾・新竹で開かれている国際学会「IEEE Asian Solid-State Circuits Conference(A-SSCC)2026」で発表される。製品化の時期は示されていない。今後の焦点は、アイシンがこの設計を車載部品に採り入れるかどうか、そしてTiny YOLOv3より大きなモデルでどこまで性能を出せるかである。

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